私たちが、ある治療薬を使えるようになるまでには、下記のような長い長い開発プロセスが必要です。
今回、私たちが皆さまからの寄付によってサポートしようとしているのは、「臨床研究」プロセスです。
「臨床研究」とは、治療薬開発のプロセスの中で、科学的裏づけや倫理委員会のチェックなどを経た後に、
実際に患者さんの協力を得て行われる研究のステップです。ここでは病因の解明、病気の予防・診断・治療の改善、患者さんの生活の質の向上などを目指した研究がおこなわれます。
「臨床研究」プロセスを経て一定の効果や安全性が認められると、さらに多くの協力者に対して試験的に新薬を使用してデータをとる、いわゆる「治験」プロセスに進みます。研究のステップが「治験」までくると、製薬化を見越した製薬企業等が開発資金を負担して研究に取り組むケースも多く、一気に実用化に近づきます。
一方、「臨床研究」の段階では、製薬化への見通しがまだ不確定なため、
研究資金の調達に困難を伴うことが多く、とくに稀少がんの研究にはなかなか資金が集まらない現状があります。しかしこのプロセスが実現しなければ、製薬化も実現しません。
私たちは、希少がんを含むできるだけ多くのがん種治療の研究を「治験」プロセスに渡せるよう、「臨床研究」を積極的にサポートしたいと考えています。それが、市民のためのがんペプチドワクチンの会が、がんペプチドワクチン研究のトップランナーである研究者の方々のご協力で立ち上げた「市民支援型臨床研究」の考え方です。
前述のとおり、国や企業からの資金が集まりにくい「臨床研究」を私たち市民の寄付によって支えることができれば、より幅広い分野の研究開発が実用に向けて動き出すことになります。そして国や企業を動かすのは「製薬化を望んでいる方が大勢いる」という事実。市民が支える「臨床研究」が生まれれば、国や企業への大きなアピールになると考えます。
また「臨床研究」が実現することで、人数は多くありませんが、その研究の対象者としてその治療薬を試すことができる方が生まれます。有効な手だてがなく「がん治療難民」となられている患者さんにとって一縷の希望となる可能性もあります。
注:臨床研究の対象者になるには、研究に合った体質や症状などの条件が求められるため、どなたでも対象者になれるわけではありません。
注:臨床研究の対象者募集につきましては、当会サイトでもご案内いたします。恐れ入りますが、個別のお問い合わせはご遠慮くださいませ。
当会が支援を託すのは、全国規模の研究ネットーワークです。
多くの研究者を擁するこのネットワークの代表は、がんペプチドワクチン研究の第一人者で、2011年まで内閣官房医療イノベーション推進室長も務め、現在は米シカゴ大学で研究をされている
中村祐輔教授。2012年11月13日の読売新聞では、神奈川県が、中村祐輔教授の協力のもと「がんワクチン」の研究開発センターの設立を検討していることが報道されました(記事ページは
こちら。)当日は、当会も患者の立場から要望書を手渡しました(要望書内容は
こちら)。
集まりましたご支援は、市民のためのがんペプチドワクチンの会が責任を持ってこの研究ネットワークに付託し、患者さんの需要の高い分野、実現性の高い分野などを吟味したうえで、最も最適な研究に投入いたします。また準備が整いましたら、資金が投入された研究グループのメンバーや研究実績について、このサイトでご紹介いたします。